SupTrip(RoamRover) ST-12 レビュー!評判のスーツケースをプロが検証

SupTrip ST-12をレビュー!
「SupTrip」はAmazonで売られている格安スーツケース。
出品者は中国の「福清市老友貿易有限公司?」という業者。
よくある怪しいブランドの一つです。
ただ、スーツケースは以前からある「RoamRover」というブランド。
「SupTrip」という名前でも新しく並行販売している感じです。
分散してアピール、レビュー対策など、よくある手法。
購入したのは「ST-12」という2025年新型(らしい)。
Sサイズ、カラーは「ブラック」。
たまには激安品も調査しようと買ってみた。
プロとして完璧にレビューしたい。
<これ>

・当サイト代表のスーツケースガチ勢
1、外装箱レビュー
ロゴが大きくズレているのが格安中国品らしい。
赤い汚れがべっとりついていて最悪。
販売元は「SupTrip 直営店」でしたが、「RoamRover」になっている。
このあたりはさすが怪しいブランド。
「RoamRover」としての品番は「RR-6680」?もしくは再利用か。
カラー・サイズになんのチェックもないですが、
上面にシールが貼ってありました。
2、内装レビュー
普通な構造のダンボール。
カッターで開ける際は要注意。
ダンボールは2重で厚く良かった。
本体は専用のカバーとビニール袋に入っています。
格安中国スーツケースによく付属してあるカバー。
印字のズレが大きく見た目は悪い。
収納用のカバーとしては十分。
底面でマジックテープで固定します。
本体カバーとビニール袋を外した状態。
タグなどは無く、キャリーハンドルとロゴ部に保護ビニールがあるのみ。
3、外観レビュー
縦ストライプのシンプルなデザイン。
ロゴのエンブレムが中国企業品らしい。
エンブレムデザインはAmazonの格安ブランドの定番。
古くからの有名どころとしては「NewTrip」。
それがあるのでぱっと見で安物スーツケースと感じてしまう。
ツヤのある本体塗装。
明るいところで見るとキラキラします。
キャスターの赤いサスペンションも目立つ。
特徴なのは上面4角の補強。
厚みがあるので割れにくくなっています。
一体型コーナーパッドといったところ。
容量拡張のファスナーでの歪みが大きく、使用後も直らなかった。
これは大きな減点ポイントで安物らしいところ。
本体形状はごく普通。
寸法測定結果
高さ (cm) |
横 (cm) |
奥行 (cm) |
3辺 の和 |
|
表記 | 55 | 34.5 | 23 | 112.5 |
実測値 | 54.4 | 36.1 | 23.7 | 114.2 |
問題無く機内持ち込みサイズ。
各辺、3辺の和とも機内持ち込み制限内。
安物は超えるものが多いので、これだけでも良心的なメーカーと思える。
各パーツが大きく出っ張っているので、本体自体のサイズはやや小さめです。
4、ファスナー&TSAロックの操作感
TSAロックはダイヤル式。一つ前の「007」型。
TSAロックはごく普通なダイヤル仕様。
「TSA007」と書かれている部分を上に動かすと解除できます。
ロックもファスナーの引手を差し込むだけ。
操作感は問題無く、ストレス無くロック・解除できる。
ダイヤル部も硬めでしっかり回せます。
ファスナーは2重のセキュリティ仕様。
2重なのでこじ開けにくくなっています。
高級なスーツケースではよくある仕様で、安物での搭載は珍しい。
高級品はほぼYKKですが、これはメーカー不明(記載無し)。
セキュリティファスナーは動きが重たくなるのが難点なのですが、
このSupTripは比較的軽くてスムーズ。
ほぼ気にならず良いです。
5、キャリーハンドルの操作感
↑最大に伸ばした状態
↑最小の状態
キャリーハンドルは2段階調節といまいち。
ぐらつき(遊び)もやや大きめ。
キャリーハンドルは2段階調節。
一般的には3段階なのであまり良くない。
安物でも2段階は少ないです。
高さ調節はいつも通り上にあるボタンを押しての上げ下げです。
作動に問題は無し。誤作動もしなかった。
ぐらつき(遊び)はやや大きめ。
回転動作でしなる感じが強い。
安物やなぁと感じるところです。
持ち手部は太めで丸っこい形状。
男性の自分としては持ち心地は良いですが、
女性はちょっと太すぎると感じるかもしれない。
6、トップハンドルの持ち心地
クッションの無いシンプルな樹脂ハンドル。
隙間が大きいので持ちやすい。
初期状態で大きく隙間があるデザイン。
指を入れやすいのが良い点ですが、高いので本体サイズが小さくなるのが悪い点。
安物によくある仕様です。
シンプルな樹脂の板でクッションは無し。
大きく膨らむので本体に指が当たることは無い。
持ち心地も悪くなく、特にストレスはありません。
サイドハンドルも同じ仕様です。
7、キャスターの操作性・静音性
独自のサスペンション付キャスター。
静音性はとても良い。口径も58mmと大きい。
ノーブランド品のキャスター。
安物によくある簡易的なサスペンションを搭載。
手に伝わる振動が小さくなります。
静音性は最高クラスでとても良い。
「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」と同等の静かさです。
口径も58mmと大きいので素晴らしい。
<SupTrip ST-12 キャスター静音性確認動画>
<比較用(うるさい安物キャスター)>
<アスファルトでの比較>
「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」と同等の静音性。
音の種類がちょっと違う程度で、音圧はほぼ同じ。
安物にしては超優秀なキャスターです。
8、キャスターストッパー
↑解除状態
↑ロック状態
足で踏むタイプのキャスターストッパーを搭載。
しかし不良品なのか、ほぼ機能しなかった。
安物によくある足で踏むキャスターストッパー。
自分も他社品でよく使っているので慣れたやつですが、
SupTripはなかなかロックしなかった。2個のうち1つが特に悪い。
何度か強く踏むと一応はロック状態になるのですが、
少しでも動かすと解除されてしまうことが多い。
手でしっかり下げると強くロックする時もある。
これはさすがに不良品だと思うがどうか。
構造が悪くストッパーが下がり切らないことが多いのが原因と思う。
下がってもギリギリの状態なので、すぐ解除される。
不良品とは思いますが、要注意。
これが正常ならストッパーとしては悪い評価になる。
9、荷物をかけるフック
底鋲の上段が荷物をかけるフックになっている。
最近のスーツケースでは標準的な仕様です。
仕様としては特に問題無いのですが、SupTripは仕上げが悪すぎる。
ほんともう、安物やなぁと言いたくなる。
Sサイズのスーツケースは高さが無いので、
大きなレジ袋をかけることはできません。
コンビニで貰える一番小さいレジ袋がちょうどいい。
Sサイズを貰うようにしよう。
ちなみに、荷物フックが本体上面にあるタイプなら、
Lサイズのレジ袋もかけることができます。
10、ドリンクホルダー
背面に収納式のドリンクホルダーを搭載。
引っ張ると出てくるドリンクホルダーです。
構造等は普通で、他社品もほぼ同じ。
なお、商品写真とは若干違う形状だった。
内部に出っ張るので収納性が悪くなるのが悪い点。
収納式なので、どうしても内側に出っ張ってしまう。
これにより凸凹になり収納が難しくなるのと、容量が減る。
ドリンクホルダーは便利ですが、使わないのなら無駄でしかない。
このデメリットは理解した上で購入ください。
ペットボトルがちょうどよく入る。
重みでたわむので傾きます。
このタイプのドリンクホルダーは他社品もだいたい同じ。
600mm以上の大きなペットボトルは底面が入らないことがある。
ただ、落ちることは無いのでほぼ問題は無い。
セブンイレブンのRサイズのホットコーヒーカップを入れた図です。
少し上が引っかかりますが、ちょうど良い感じで入る。
これはLサイズ。
綺麗に置ける。
これはRサイズのアイスコーヒーカップ。
途中で止まり、底が一部しか付かず不安定。
ローソンのSサイズのアイスコーヒーカップ。
半分も入らないのでこれは厳しい。
Mサイズはちょうどいい。
これはメガサイズ。
ちゃんと入りますが、不安定すぎて危ない。
これはスタバのトールサイズ。
ちょうど良く入ります。
--
他社品もだいたい同じ。
どちらかというとペットボトル用で、
コーヒーカップは種類による。
一時的な置き場と考えてください。
11、USBポート
Type-AとCのUSBポートを搭載
USBポートはキャリーハンドル部にあります。
キャリーハンドルを上げた状態じゃないと使えないので仕様はいまいち。
モバイルバッテリーを入れるポケットは無し。
メンテナンスファスナーを開けた中に
モバイルバッテリー接続用のケーブルがあります。
こちらはType-Aのみ。
専用の収納ポケットが無いので、仕様としては最悪の部類。
機能性アップのためとりあえず付けてみただけ感がある。
12、スマホスタンド
キャリーハンドル部にスマホスタンドを搭載。
裏面を引き出すとスマホスタンドになります。
角度調整などは不可。ただ置けるだけ。
便利ですが、持ち手が太くなるのが難点。
カバー付きのスマホは合わない。
幅ぴったりなので真っすぐ立った状態になってしまう。
カバー付きは使えないと思ったほうがいい。
他社品のスマホスタンドはカバー付きでOKだったので、NGなのは珍しい。
13、容量拡張機能
約4cm(20%アップ?)の容量拡張機能を搭載。
側面中央に容量拡張用のファスナーがあります。
これを広げると容量拡張ができる。
グルっと一周開けた状態。
この開いた幅の分、容量が増える仕組みです。
拡張部の生地は厚くて丈夫。
拡張幅は実測値で約3.5cm。
商品ページでは4cmと記載ありますが、
自分の測定した感じでは3.5cm程度。
拡張率は20%と記載ありますが、少な目になる気がする。
他社品だと5cm以上もあったりするので、容量拡張率は普通です。
14、内装をレビュー
片面仕切り仕様。
Xバンドはゴム。
一般的な内装仕様です。
左側の仕切りに小さなポケットが二つ。
大きなポケットが無いので書類は入れにくい。
Xバンドは安物によくあるゴム製。
固定する力が弱いのが難点です。
ポリエステル製の方がしっかり固定できて圧縮もできる。
写真で説明していきます。
ブラックで統一された内装デザイン。
生地は厚みがあり質感が良い。
右側はゴム製のXバンド。
止めやすいのが良い点。固定力が弱いのが悪い点。
中央を押すと外れます。
直接縫って固定。
安物は基本こう。
中は何も無いですが、
モバイルバッテリーを使うには中央のメンテナンスファスナーを開ける必要がある。
(USBポートにて説明済)
中央にあるファスナーがメンテナンスファスナーです。
普通のスーツケースの場合は基本的に開けません。
左側は全面仕切り。
ポケットが2つある。
ファスナー部拡大。
シンプルなデザインの引手。
メッシュは細く中身がよく見えるタイプ。
仕切りを開けるファスナーはまさかのシングル仕様。
スーツケースは基本的にダブル仕様なので、これはかなり珍しい。
そして最悪の仕様です。閉じるには必ずこの位置になる。
かなりの減点。
ポケットの開き踏愛はこんな感じ。
下段は普通のポケットで、防水ではありません。
中は何もない。
キャリーバーが無い分、左側の方が広いです。
左側は容量拡張側なので、
非拡張状態では生地のたるみがあります。
容量拡張すると生地が伸びる。
伸びた分だけ容量が増えます。
合わせ面のカバー上部です。
右側は接着剤で固定。
メンテナンスで外すことができない安物の仕様です。
合わせ面のカバー下部。
縫製は一部失敗している箇所もありますが、全体的にはまずまず綺麗。
--
内装のレビューは以上です。
生地は良いですが、それ以外はいまいち。
Xバンドのゴム製は個人的には好きではない。
左の仕切りもシングルファスナーというのが最悪な点。
5000円前後のスーツケースの中では、ちょっと劣る印象です。
15、内部をレビュー
トップハンドルとキャリーハンドルの固定部です。
上のねじ4つがトップハンドル固定部。
補強材は無く本体に直接ねじ止めといまいち。
安物にしか無い仕様で、この価格帯としては普通。
下の黒い部材がキャリーハンドル部。
安物しては珍しく大きくカバーしているのでまずまず良い。
ちょっとした軽量化も高ポイント。
キャリーバーの固定部です。
まさかのねじ止め無し。
安物に稀にあるのですが、基本的にはねじ止めする箇所。
部材としてはリブもあり問題無い形状ですが、ねじ無しはちょっと心配。
キャスターの固定部です。
安物らしく補強材は無く本体に直接ねじ止め。
成型での補強はありますが、かなり雑で良いとは言えない。
とはいえ、安物はどれもこんなものなので普通です。
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内部のレビューは以上です。
5000円前後の安物スーツケースらしい内部仕様。
特別に良い点は無く普通。
強度は期待してはいけない。
16、実際に荷物を入れてみた
容量は普通。
200匁のフェイスタオルをほぼ限界まで入れてみた結果55枚入りました。
一般的な機内持ち込みサイズだと55枚程度なので普通。
容量拡張すると65枚程度入ると思います。
ゴムバンドなので強く圧縮できない。
そのためトラベルポーチを活用したほうが良いです。
ここで気づいたのですが、仕切り裏面に汚れが付着していた。
開けてすぐの時の写真にも汚れがあったので、これは最初から。
ほんともう安物クオリティー。
17、実際に転がして使ってみた感想
キャスターが静かで快適。
いろいろなところを転がしましたが、
静音性はHINOMOTOと本当に変わらない。
回転動作等も問題無く、その他変な音も違和感も無し。
口径も58mmと大きいので段差に強い。
50mmならガン!となる段差も軽く乗り越えられる。
サスペンションは簡易的なものなので、高級品と比べると振動が大きい。
キャリーハンドルはややぐらつきが大きめなので、
回転動作等でどうしても安物感がある。
トップハンドルは持ちやすくて良い。
キャスターストッパーは何度やってもほとんど機能せず。
部品同士が奇跡的に噛み合わないとロックしない。
これはさすがに不良品と思うので、普通は問題無いはず。
返品するのは面倒なので諦めます。
重量は実測値3.24kgと普通。
商品ページには3.5kgと記載ありますが、それだとこの仕様にしては重たすぎる。
実測値の3.24kgが正しいと思います。
機内持ち込みサイズとしては少しだけ重ためですが、普通の部類。
安物は2.8kgなど軽いものが多いので、
軽さを求める人は買うのは止めておこう。
18、SupTrip(RoamRover) ST-12の検証・レビューまとめ
項目 | 評価 | コメント |
容量 | 〇 | 普通な本体サイズ |
重量 | △ | 実測値3.24kgと普通 |
包装 | 〇 | 専用カバー |
キャリーハンドル | △ | ぐらつき普通。2段階調節 |
トップハンドル | 〇 | 指を入れやすい。膨らみも大きい |
ファスナー | ◎ | セキュリティファスナー。スムーズ |
TSAロック | 〇 | ダイヤル式。007型 |
キャスター | ◎ | 独自キャスター 静音性抜群 口径58mm |
内装 | △ | ゴム製バンド、引手がシングル |
仕上げ | △ | ファスナーによる歪みが大きい |
良い点(Good)
- ✔キャスターの静音性抜群
- ✔ほぼ最大サイズとなる58mmキャスター
- ✔ドリンクホルダー搭載
- ✔荷物フックを搭載
- ✔USBポートを搭載
- ✔スマホスタンドを搭載
- ✔約4cmの容量拡張機能
- ✔専用のカバーが付属
悪い点(Bad)
- ✕ストッパーが機能しないことが多い
- ※不良品と思われるが不明
- ✕キャリーハンドルのぐらつきがやや大きめ
- ✕キャリーハンドルが2段階調節
- ✕モバイルバッテリーを入れるポケット無し
- ✕スマホスタンドが小さめ
- ✕Xバンドがゴム製
- ✕仕切りのファスナーがシングル仕様
- ✕ファスナーによる本体の歪みが大きい
キャスターの静音性が優秀。
その他は悪い点が目立つので、強くおすすめはできない。
キャスターはほぼ最高級の静音性。
これだけで選ぶ価値はあるのはありますが、
他社の激安品でもこの程度の静音性はよくある。
届いたものはキャスターストッパーが悪かったため、
心からキャスターが良いとは言えなくなった。
その他も全体的に悪い点が目立つ。
内装は安物の中でも悪い方。キャリーハンドルも2段階。
USBポートもモバイルバッテリーのポケットが無く劣る。
これなら自分は他社品を選びたい。
静音性は良いので、激安になっていたら買ってもいいと思う。