ドン・キホーテ 情熱価格 拡張ジッパーキャリーケース レビュー!評判のスーツケースをプロが検証
「ドン・キホーテ 情熱価格 拡張ジッパーキャリーケース」をレビュー!
ドンキで一番売れているスーツケースです。
日本の大手スーツケースメーカー「シフレ」のドンキ専用品番。
2024年11月にリニューアルして仕様が大きく変わりました。
結論的に、あまりおすすめはできません…。
購入したのはSサイズ(機内持ち込みサイズ)で、カラーは「ブラック」。
プロとして完璧にレビューしたい。
<これ>
公式商品紹介ページ:https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=4720
プレスリリース:https://digitalpr.jp/r/100185
・当サイト代表のスーツケースガチ勢
<関連>
・ドン・キホーテにスーツケースを見に行った話(値段・ラインナップ・情熱価格など)
1、購入状態
展示品をそのまま持って帰る形になります。
店頭ではPOPも付いていますが、さすがにそれはレジで回収される。
保護フィルムとラベル類は写真の通りそのまま。
持ち帰る際に傷が付きにくいので良かった。
展示品なので少々傷が付いていたりするものがあります。
できるだけ綺麗なのを選んで購入ください。
2、外観レビュー
テカテカな表面。シンプルなストライプデザイン。
ABS樹脂+PCの鏡面仕上げ。
ブラックカラーは全体を黒で統一しており完全に真っ黒。
ただ、反射するので明るい印象のスーツケースです。
さすがシフレだけに粗悪感は無く、
ファスナー部の歪みなどは小さく仕上げは良い。
各パーツも綺麗です。
前面の上部にハンドル(グリップマスター)があるのが特徴的。
下部にはボトムハンドルもあります。
サイドハンドルもあるのでハンドルだらけです。
全体的にはやはり安っぽさが強い。
1万円以下のスーツケースだなと感じます。
3、機内持ち込みサイズのサイズ感について
LCCへの機内持ち込みサイズなので小さめ。
そのため、JAL・ANA利用者にはおすすめできないスーツケースです。
右側がJAL・ANAの機内持ち込みサイズです。
ドンキのは「約54×35×22cm」となっており、
LCCへの機内持ち込みに対応したサイズになっています。
LCC利用者には良いですが、そうでないと無駄でしかない。
JAL・ANA制限ギリギリのサイズを買うことをおすすめします。
なお、その他のサイズは普通なサイズ感です。
しかし、どうしてこんなサイズにしてしまったのか。
旧型は普通なJAL・ANAサイズでした。
4、ファスナー&TSAロックの操作感
TSAロックは鍵式。一つ前の「007」型。
ジッパータイプのスーツケースとしては少ない鍵式のTSAロック。
鍵は二つ同梱されています。
ファスナーの動きは軽くてスムーズ。
このあたりは特に問題無い。
5、キャリーハンドルの操作感
↑最大に伸ばした状態
最小状態
9段階調節のキャリーハンドル。
ぐらつき(遊び)はやや大きめ。
キャリーハンドルは1.5cm間隔で高さを調節できます。
一般的には3段階なのでなかなか良い。
操作もさすがシフレだけに誤作動等は無くスムーズです。
ぐらつき(遊び)は大きめでやや悪い。
ガチャガチャと音も大きめで安っぽさが強いです。
価格相応なキャリーハンドルだなと感じます。
持ち手部は丸っこくて持ちやすい。
個人的には好き。
6、トップハンドルの持ち心地
大きく膨れて持ちやすいが、手を入れにくい。
シリコングリップがベトベトして気持ち悪い。
幅広のシリコンクッションが特徴的。
大きく膨れるので本体に指は当たらず、手も痛くなりにくい。
しかしベトベト感が強くて個人的には持ち心地は悪い。
とても手を入れにくい。
トップハンドル部は凹んでおり、ジッパー部も邪魔で指が入らない。
そのため指を入れる時は指が痛い。
手を出す時も当たるので、かなり不快です。
ここは個人的な好みの問題でもありますが、
自分はかなり低評価なトップハンドルです。
サイドハンドルも同じ仕様です。
7、キャスターの操作性・静音性
サスペンション&ストッパー付きのキャスター。
前輪は口径55mm、後輪は60mmと大きいのが特徴。
静音性はいまいち。
前輪と後輪で口径が違う仕様。
引いて転がすときに段差に強くなりました。
機内持ち込みサイズで60mmは珍しく、かなり大口径です。
(コインロッカーサイズだけはどちらも同じサイズなので注意)
サスペンションのバネがついており、振動を吸収してくれます。
これにより手に伝わる振動がとても少ない。
ただ静音性はあまり良くならず、ややうるさめです。
安物よりは静かですが、2万円以上のスーツケースによく採用されている
静音キャスター「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」よりはうるさい。
<ドンキ拡張ジッパーキャリーケース静音性確認動画>
<比較用(HINOMOTO Lisof SILENT RUN)>
<比較用(うるさい安物キャスター)>
粗悪なキャスターと比べると十分に静かなのは良い点。
1万円程度のスーツケースとしてはまずまずです。
キャスターストッパーは足で踏むタイプ。
旧型と比べてレバー部が幅広になって上げ下げしやすくなりました。
ここはリニューアルされてかなり良くなった点
8、グリップマスターをレビュー
前面上部にもハンドル(グリップマスター)があります。
これはスーツケースの上にバッグ等を置いた状態でも、
そのまま持ち上げることができるというもの。
かなり珍しい仕様です。
このようにバッグを置いても
グリップマスターを持って運ぶことができる。
階段等でもずっとバッグを置いたままにできるので便利です。
これはなかなか良いと思う。
ハンドルはシンプルな樹脂の板ですが、
大きく膨れて持ちやすいです。
9、荷物をかけるフック
上段の底鋲がフックにもなっている。
底鋲兼フックのよくある仕様です。
レジ袋などをかけることができるので便利。
機内持ち込みサイズは高さが小さいので、
Sサイズの袋しかかけられない点には注意。
下段は普通の底鋲。
10、容量拡張機能
かなり特殊な構造の容量拡張。
外側が拡張用、内側が開け閉めのジッパーになっています。
上の写真が非拡張状態。このファスナーを開けると下図に。
開けると内側からまたファスナーが出てきます。
このファスナーを開けるとやっと本体が開く。
2回も開けないといけないという、超面倒くさい仕様です。
拡張幅は約3.5cm。
商品ページでは「22-27cm」と記載あるので5cm拡張なのですが、
拡張状態でも約24cmしかない(非拡張状態で約20.5cm)。
個体差とは思いますが、自分のものは拡張状態でもJAL機内持ち込み可能でした。
さすがに寸法が違いすぎる。奥行が小さすぎる。
変な構造にしたので設計ミスになっているのか、商品ページの数値が間違いなのか。
容量拡張ではあるけども、これだとあまり意味がない。
最後に容量拡張用ファスナーを閉めて圧縮できるのは良い点。
かなり詰め込んでも閉まります。
11、内装をレビュー
変則的な両面仕切り仕様。
初見ではどう使うのかわからない内装仕様です。
そしてずっと容量拡張状態なので、どこまで入れたらいいかもわかりにくい。
変わったスーツケースやなぁと内装でも感じる。
写真で一つ一つ説明します。
紫がかったポリエステル記事。
カサカサしているタイプで、個人的には安っぽく感じる。
初期状態はXバンドが上で、下に仕切りでした。
どちらが上でも使えますが、仕切りは上が自然。
バックルはごく普通なもの。
バンドはシフレらしい細いポリエステル製。
変わったデザインの仕切り。
ポケットが2個あります。
左側のファスナーは拡張用。
ファスナーを外して幅を広くすることができます。
容量拡張状態で使うときは外す仕様だと思います。
拡張用ファスナーはジャンパーのような脱着仕様。
閉めるのがとても面倒くさかった。
ポケット部のファスナー拡大。
紐付きの引手で引きやすい。
シフレのタグ。
品番の意味はわからない。
小さなポケットが2個。
生地が折りたたまれているので、少し大きめに膨れる。
仕切りのバックルを2個外すとこのように開きます。
中は何もない。
非容量拡張状態で使う場合は黒い線まで入れます。
わかりにくいのでつい入れすぎてしまう。
左側は全面メッシュ仕切り。
軽量特化タイプでよくあります。
少しでも軽くしたかったのだろう。
こちら側のファスナーも同じ仕様。
メッシュは細いタイプ。
こちらの中も何もない。
合わせ面のカバーは縫い&接着剤固定。
縫ってあるので悪くは無い。
全体的に仕上げや縫製は良い。
--
内装のレビューは以上です。
両面仕切りなので収納性は良い。
小さいポケットが2個で、書類等を入れる大きなポケットが無いのは残念。
基本容量拡張状態なので、どこまで詰めればいいのかわかりにくいのは難点。
ちょっと癖のある内装なので、好き嫌いは大きく分かれると思う。
12、内部をレビュー
右側の生地を開けた図です。
上部に保護カバーがある
トップハンドルとキャリーハンドル固定部です。
トップハンドルは汎用的で簡単な補強材。
この価格帯なら普通な仕様で、特に良くは無い。
キャリーハンドル部も安っぽい最低限な仕様。
上から被せるような構造でシフレらしい。
こちらも特に良くは無いが問題無し。
キャスターとキャリーバーの根本固定部です。
ねじ部に保護シートが貼られてあり、キャスター部だけ一部剥がしています。
キャスターは補強材はなく本体に直接ビス止めといまいち。
安物スーツケースはほぼ補強材は無いので普通ではある。
成型も特別良さそうには見えない。
キャリーバー根本部も普通な仕様。
肉厚でかつリブで補強されているので悪くは無い。
--
内部のレビューは以上です。
価格相応の安っぽい内部仕様です。
5000円程度のスーツケースと大差無い。
特別に強度が良いということは無いと思います。
13、実際に荷物を入れてみた感想
サイズが小さいので容量はかなり少ない。
200匁のフェイスタオルをほぼ限界まで入れてみた結果、50枚入りました。
大容量な機内持ち込みサイズだと60枚入るので、50枚は少ない。
ただ、サイズの割にはたくさん入ったのは良い点。
容量拡張のファスナーで圧縮できるのが強い。
LCC機内持ち込みサイズとしては良いのではと思います。
JAL・ANA用だとさすがに小さいのでダメ。
奥行が浅いので、トラベルポーチを入れにくいのが悪い点。
あまり大きな荷物が入らず汎用性は低い。
本当にこれはLCC用です。
14、実際に転がして使ってみた感想
走行性は良い。
サスペンションキャスターなので、手に伝わる振動が少ない。
かなり安いタイプのものですが、十分に性能を発揮できています。
ただ静音性はいまいちなので、アスファルトでの騒音はかなり気になる。
後輪の大口径キャスターの恩恵はさすがにわからず。
特に静音になるということもなく、段差に強いというだけ。
長く使えば良さに気づくかもしれない。
キャリーハンドルはぐらつき大きめですが特に問題無し。
問題なのはやはりトップハンドル。
最初に掴みにくく、持ってもベトベト感。
個人的な好みの問題ではありますが、自分は大嫌いです。
これは本当に気持ち悪い。店舗から持って帰る時は辛かった。
重量も重たく感じる。
LCCサイズで実測値3.18kgはかなり重たい。
このサイズなら2.5kg程度であってほしいところ。
いろいろ機能があるのが原因ではありますが、もうちょっと軽くしてほしい。
ちなみにLサイズも5.3kgとメッチャ重たいです。
そんなところで、あんまり快適とは言えないスーツケース。
特にトップハンドルが個人的に嫌い。
15、ドン・キホーテ 情熱価格 拡張ジッパーキャリーケースの検証・レビューまとめ
項目 | 評価 | コメント |
容量 | △ | LCCサイズ。容量拡張機能 |
重量 | △ | 約3.18kgと重め |
包装 | - | 展示品持ち帰り |
キャリーハンドル | 〇 | 9段階調節。ぐらつきは大きめ |
トップハンドル | × | 最初に持ちづらい。べとべと |
ファスナー | 〇 | 軽くてスムーズ |
TSAロック | 〇 | 鍵式。007型。問題無し |
キャスター | 〇 | サスペンションキャスター。静音性はいまいち |
内装 | 〇 | 両面仕切り |
仕上げ | 〇 | 歪みはほぼ無く、縫製等も良い |
良い点(Good)
- ✔サスペンションキャスター
- ✔前輪55mm、後輪60mmの大口径キャスター
- ✔足で踏むタイプのキャスターストッパー
- ✔LCC向け機内持ち込みサイズ
- ✔約3.5cmの容量拡張機能搭載
- ✔キャリーハンドルが9段階調節
- ✔グリップマスター搭載
- ✔荷物をかけるフック搭載
- ✔両面仕切りの内装
悪い点(Bad)
- ✕重量が実測値3.18kgと重ため
- ✕LCC向け機内持ち込みサイズなので小さい
- ✕キャスターの静音性はいまいち
- ✕キャリーハンドルのぐらつきは大きめ
- ✕トップハンドルを掴みにくい。べとべと
- ✕本体を開けるにはジッパーを2回開ける
- ✕内装のポケットが小さめ
LCC向け機内持ち込みサイズなので、
JAL・ANA利用者にはおすすめできない。
まずスーツケースとして重要な容量の問題で、LCCサイズというのは大きな注意点。
JAL・ANA向けよりもサイズが小さいので、LCCを利用しない人は買ってはいけない。
機内持ち込みサイズ以外は特に問題無いです。
次に重ためというのも大きな悪い点。
軽いスーツケースを求める人は買ってはいけない。
そして、独特な容量拡張機能。
荷物を出すにはファスナーを2回開けないといけないという仕様。
容量拡張前提なら良いですが、そうでないなら無駄でしかない。
開けるのも面倒ですが、閉めるのはもっと面倒。
引手が邪魔で閉まらずストレスが…
本当に良いと言えるのは「グリップマスター」程度で、
その他はいまいち~普通なスーツケースだなと思います。
約1万円という価格が安いか?と言えば、安くないです。
機能性は良いですが、全体的に噛み合っていない感がある。
正直これなら旧型のほうが良かったのではと思う。
ドンキさんには悪いですが、これはおすすめできない…