EXCITECHのスーツケースをレビュー!評判のスーツケースをプロが検証

EXCITECHのスーツケースをレビュー!
2024年7月頃に発売されたスーツケースです。
「現役客室乗務員監修」という「VELSKYF」を真似した売り方が特徴的。
いつも思うけど、CAはこんな安物を使わないだろう。
「EXCITECH」は「株式会社Extage」のビジネス系のブランド名。
その会社の本体?は「株式会社AMBITION」(2015年創業)。
健康食品や美容など、様々な商品を開発・販売する日本の小さな会社です。
ECサイトでは「いいねONLINE 健康&美容 研究所」というショップ名で販売。
怪しいブランドの中では値段は少し高め。
しばらく見送っていましたが、どんなものかと気になったので買ってみた。
購入したサイズはS(機内持ち込みサイズ)、カラーは「ブラック」です。
<これ>
プロとして完璧にレビューしたい。

・当サイト代表のスーツケースガチ勢
1、外装箱レビュー
中国OEM品によくあるスーツケースの絵のデザイン。
若干衝撃等による変形はありますが、
汚れも少なく良好な状態。
注意書き等は日本仕様で安心。
ダンボールは厚みはありますがシングルタイプで強度はいまいち。
(スーツケースはダブルが多い)
2、包装レビュー
包装は最低限。一番安い仕様です。
カッター傷防止は無いので開ける際は注意。
ハンドルにビニールの保護材が巻かれています。
ハサミ等で簡単に切れて剥がせます。
3、外観レビュー
ストライプのシンプルなデザイン。
やや光沢があるので明るい雰囲気。
特にコーナーパッドが強く反射するので眩しい。
全体的にはよくある中国OEM品のデザイン。ぱっと見で安物です。
容量拡張機能があるので、ファスナー部による歪みは大きめ。
やや傾いて立っていますが、荷物を満杯に入れればマシになる。
本体形状は薄めで横長。
角はRが大きいので丸っこく、リブも全体にあるので強度は良さそう。
問題として、高さが高すぎる。
<EXCITECH 寸法測定結果>
EXCITECH | 高さ (cm) |
横 (cm) |
奥行 (cm) |
3辺 の和 |
表記 | 55 | 37.5 | 22.5 | 115 |
実測値 | 55.5 | 36.6 | 23.3 | 115.4 |
高さが55.5cmあるのでJAL・ANAへの機内持ち込みは不可。
3辺の和も115.4cmある。
測定正確ではないですが、さすがに1mmもずれない。
シンワ測定の大きな曲尺を合わせて測定しています。
いろいろ測定していますが、日本大手メーカー品はまず超えません。
個体差はもちろんあると思うので、
「自分が購入したSサイズは機内持ち込み不可能」と思ってください。
Sサイズを買う場合は要注意。というよりおすすめできない。
4、ファスナー&TSAロックの操作感
TSAロックはダイヤル式。一つ古い仕様の「007」。
ちょっとロックの差し込みがやり辛かった。
TSAロックはごく普通なダイヤル仕様。
「TSA007」と書いてある部分を上に動かすと解除できます。
ロックは差し込むだけ。
しかし、位置がずれていてロックがしにくい。
ファスナーの位置が合っていない。
ロックの際はファスナーを少し後ろに動かす必要がある。
ファスナー部が歪んでいるのが原因です。
容量拡張機能付きだと時々ある問題。
ただ、荷物を満杯に詰めると歪みが解消されるので問題無かった。
少ない場合はこうなると考えてください。
5、キャリーハンドルの操作感
キャリーハンドルは一般的な3段階調節。
ぐらつき(遊び)は普通で悪くない。
キャリーハンドルはごく普通な仕様です。
ボタンを押して3段階に高さを調節できる。
調整はスムーズで問題無い。
ぐらつき(遊び)は普通であまり気にならない。
当然ながら安っぽいですが、特に問題は無いキャリーハンドルです。
持ち手部は細めなので、女性や子供も使いやすいはず。
6、トップハンドルの持ち心地
軽く大きく膨らむので持ちやすい。
裏面がクッション素材(シリコンゴム)になっており、グリップ感が良い。
荷物を入れて持っても手はほぼ痛くなりません。
本体との隙間が大きいので指を入れるのも楽。
よくある安物ハンドルではありますが、なかなか持ち心地は良いです。
径が小さめなので手が小さい女性や子供も持ちやすいと思います。
サイドハンドルも同じ仕様です。
7、キャスターの操作性・静音性
口径58.5mmと大きいキャスター。
素材はTPU。静音性はいまいちだった。
一般的には口径50mmなので58.5mmは大きいです。
商品ページには55mmと記載があったので、なかなかの上振れ。
これが本体が高くなりすぎている主要因だと思う。
ホイールも太くて静音性は良さそうなのですが、
ガラガラという高い音が目立った。
<EXCITECH キャスター静音性確認動画>
<比較用(典型的なうるさいキャスター)>
この価格帯でよくある安物キャスターと比べると静音性はかなり良い。
十分使えるレベルではある。
<比較用(HINOMOTO Lisof SILENT RUN)>
定番の静音キャスター「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」と比べるとかなり劣る。
静音性重視な人はEXCITECHは止めるか、キャスターカバーを装着しよう。
口径58.5mmなので55mm~60mmサイズを選んでください。
8、キャスターストッパー
足で踏むタイプのキャスターストッパーを搭載。
安物によくあるタイプです。
レバーを足先で上下に動かしてロック・解除をします。
レバーが小さいのと、キャスターの位置の問題もあるのでやり辛い。
キャスターのロック自体は問題無し。
あるだけマシですが、
キャスターストッパー重視ならワンタッチタイプを選ぼう。
9、荷物をかけるフック
正面上部に収納式の荷物をかけるフックを搭載。
これも中国OEM品でよくある仕様。
引っ張るとベルトが出てきて、そのベルトに荷物をかけます。
こんな感じでベルトにレジ袋をかけて、
収納して固定します。
なお、レジ袋だと綺麗に収納できますが、太めの紐だと閉まらない。
高さはおおよそ50cm。
S~Mサイズのレジ袋がかけられます。
軽ければ何個かまとめてかけられるのが便利。
10、容量拡張機能
約3cmの容量拡張機能を搭載。
本体中央のファスナーを広げると容量拡張できます。
広がった分だけ容量が増える仕組み。
見た目はちょっと悪くなる。
電車の連結のようになるので、荷物が詰まっていないとぐらぐらするのはデメリット。
破れないように拡張部の生地は厚くて丈夫です。
商品ページでは「6cm」と記載ありますが、
自分が考える拡張幅は約3cmしか無い。
さすがにこれを6cmと言うのはどうかと思う。
そもそも商品ページを見ても3cmくらいしか広がっていない。
EXCITECHは容量拡張としては最低クラスです。
(多いやつはこの部分で5cm以上ある)
11、内装をレビュー
両面仕切り仕様。
生地も厚めで質が良い。
収納性が良い両面仕切り仕様。
Xバンドもあるので限界まで詰め込むのも簡単。
生地も良く、内装はなかなか優秀です。
写真で解説していきます。
両面仕切りは荷物が見えないのも良い点。
容量拡張は右側です。
右側の仕切りは大きなメッシュポケットが一つ。
ファスナーの引手は中央が膨らんでいて持ちやすい。
メッシュは細かく中身がよく見える軽量タイプ。
仕切り開閉のファスナー。
メッシュポケットの開き幅は小さい。
書類などを入れるのに向いています。
中はXバンド。
ポリエステル製です。
バックルはごく普通なタイプ。
容量拡張機能があるので、生地がたるんでいます。
大きな糸の飛び出しがあった。
左側は上段がメッシュポケット、下段がビニールポケット。
ファスナーやメッシュの仕様は右側と同じ。
こちらのポケットも薄め。
ビニールポケットはこんな感じ。
折りたたみ傘も入ります。
濡れたものや、濡れたら困るものを入れたい。
左側もXバンド。こちら側にもあるのは珍しい。
ホッチキスのようなものが飛び出していた。
金属なのでこれは危ない。縫製失敗しての補強だろうか?
合わせ面のカバーは両端とも縫ってある。
左側は接着剤での固定もされていた。
縫製は安物らしくズレ等はありますが、全体的には綺麗。
粗悪さは感じない。
最後に容量拡張前後の説明を。
上図は容量拡張していない状態です。
容量拡張するとピンと伸びる。
この伸びた分だけ容量が増えます。
やはりどう見ても3cmしかない。
6cmはどういう計算なのだろうか。
仕切りはピンと張っていて伸びないタイプ。
そのため最大に荷物を入れたい場合は仕切りを閉めてはいけない。
※後で詳細説明します。
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内装のレビューは以上です。
収納性はとても良い。
両面Xバンド&仕切りで荷物はしっかり固定できる。
ただ、その分荷物を入れにくく容量も少な目になる。
実売価格7000円程度のスーツケースとしてはそこそこ良い内装です。
生地も良く、EXCITECHの値段が高めな原因はほぼ内装だと思う。
12、内部をレビュー
メンテナンス用のファスナーを開けると、
梱包等に使われるミラーマットが敷いてあった。
クッション性を良くするためだろう。たまにある。
固定はされていない。普通のミラーマットです。
トップハンドルの固定部です。
上の細長い部品がトップハンドルの裏側。
大きく厚めの補強材で、この価格帯としては良い。
これならたわみもなく均一に応力が加わるはず。
トップハンドルは固定強度的には問題無し。
キャリーハンドルの固定部です。
安物らしく固定・補強材は無く、本体に直接ビス止めと悪い。
左下のビスもなんか曲がっている。
ここはいまいち。
中央がキャリーバーの固定部です。
汎用的な部材で安物らしい。
固定はしっかりされているので問題は無い。
キャスターの固定部です。
キャスターは補強材があって素晴らしい。
1万円以下のスーツケースに補強材はほぼありません。
ただ、小さめで安物らしい補強材ではある。
ここはEXCITECHの優秀な点。
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内部のレビューは以上です。
キャリーハンドルの付け根は部材がなくいまいちですが、
それ以外はこの価格帯にしては優秀な内部仕様です。
特にキャスターに補強材があるのが良い。
仕上げも全体的に綺麗で、安物にしては質は良い。
強度は期待できます。
13、実際に荷物を詰めてみた感想
容量はやや少な目。浅く感じる。
200匁のフェイスタオルをほぼ限界まで入れてみた結果、53枚入りました。
一般的な機内持ち込みサイズは50枚~60枚なので普通です。
商品ページは「27.6L」と記載ありますが、普通に35Lくらいはある。
限界まで入れる場合、右側の仕切りは閉めない使い方になる。
両面仕切りでかつ、あまり膨らまない仕様なので仕方ない。
仕切りを閉めて使う場合、タオルが43枚しか入らない。
メーカーはこれを「27.6L」を言っているのだろうか。
そして仕切り解放&容量拡張で6cmアップ(40L)と。
両面仕切りを閉めて大容量になるものを望む人にはおすすめできない。
このあたりは安物仕様だなと感じます。
14、実際に転がして使ってみた感想
ガラガラとうるさめのキャスターが印象的。
この価格帯にしては静かなキャスターなのですが、
最近はもっと静音なスーツケースが増えてきたので劣るように感じる。
アスファルトで使うとキャスターカバーは必須だなと思います。
キャリーハンドルの操作性は普通。
持ち手がと小さめでさらさらしているので気持ちは良い。
調節ボタンが誤作動することもなかった。
トップハンドルはいつもの中国OEM品。
とても持ちやすくて心地良い。
安物感は強いですが、不満を持つ人は少ないだろう。
重量は約3kgと普通。
重たくも軽くも無い普通な重さです。
商品ページは「超軽量」と書いていますが、自分には書けない。
ほんとメーカーの商売根性を見習いたい。
その他、特に変な音も違和感も無し。
普通に使えるスーツケースだなという印象です。
キャスターロックも坂道でしっかり固定できて良し。
EXCITECH、悪くは無い。
15、EXCITECHの検証・レビューまとめ
項目 | 評価 | コメント |
容量 | △ | 両面仕切り&浅めでやや少なめ |
重量 | △ | 実測値2.99kgと普通 |
包装 | △ | 最小限の包装 |
キャリーハンドル | 〇 | ぐらつきは普通。持ちやすい |
トップハンドル | 〇 | クッション性が良く持ちやすい |
ファスナー | 〇 | 軽くてスムーズ |
TSAロック | △ | 007型。位置ずれでロックしにくい |
キャスター | △ | 58.5mmの大口径。静音性はいまいち |
内装 | 〇 | 両面仕切り、両面Xバンド |
仕上げ | 〇 | 縫製は良い |
良い点(Good)
- ✔58.5mmの大口径キャスター
- ✔両面仕切りで収納性の良い内装
- ✔容量拡張機能を搭載
- ✔キャスターストッパー搭載
- ✔持ちやすいトップハンドル
- ✔荷物をかけるフックを搭載
- ✔この価格帯にしては良い内部仕様
悪い点(Bad)
- ✕サイズが制限を超えており機内持ち込み不可※
- ✕キャスターの静音性はあまり無い
- ✕容量が少な目
- ✕TSAロックが位置ずれでしにくかった
※個体差の可能性はある
EXCITECHは少し高いだけあって品質は良い。
機内持ち込みできないのは残念。
よくある安物スーツケースと比べると1000円~2000円程度高いので、
その分品質は良くなっています。高い価値はある。
特に内装仕様と内部仕様が良い。
キャスターの静音性はいまいちですが、58.5mmの大口径は魅力。
キャスターカバーを付ければ静音になるので、うるさいのは問題は無い。
個人的にこの大口径がEXCITECHの一番良い点。
両面仕切りでかつ、がっちり固定するタイプなので詰め込みにくいのは難点。
しっかり詰めると入るのですが、初見な人は「容量少な!」と感じるはず。
コツが要るので子供にはおすすめできないです。
高さが55.5mで機内持ち込み制限を超えているのは最悪な点。
個体差の可能性もありますが、5mmの個体差はそうそう無いとは思う。
5mmくらいバレないと思いますが、厳密にはNG。
航空機利用前提の人はSサイズは買うのは止めた方がいいと思います。
キャスターストッパーもあるので、この値段にしては優秀なスーツケース。
予算1万円以下なら有りです。