無印良品フロントオープンキャリーケースをレビュー！評判のスーツケースをプロが検証

無印良品フロントオープンキャリーケース

2025年2月にフロントポケットタイプが発売されました。
いきなり全国展開ではなく、公式通販と一部店舗で先行販売。
ダンボールが欲しいので自分は公式通販で購入。

購入したのはSサイズ（32L）で、カラーは「黒」。
プロとして完璧にレビューしたい。

＜ノーマルタイプのレビューはこちら＞

・無印良品のスーツケースをレビュー！評判のスーツケースをプロが検証

Reviewer：パルどう＠Expert
・当サイト代表のスーツケースガチ勢

１、外装箱レビュー

ダンボールデザインはノーマルタイプとほぼ同じ。
一重で薄めのダンボールなので変形にやや弱い。
とても綺麗なのは良い点。

２、包装レビュー

カッター傷防止の上蓋があるのみで固定材は無し。
本体はビニール袋だけに包まれており最低限な仕様。
店舗だと展示品の購入になるので通販の良い点。

こちらもノーマルタイプと同じ。

付属のタグは2枚。上面にラベルが一枚。
店舗ではこの状態で販売されています。

いつもの無印良品のタグ。

素材が詳しく書いてあるのが無印良品の良い点。
スーツケースとしては珍しいベトナム製です。
ノーマルタイプは中国製。

ラベルはフロントポケットの使い方説明。
右図は「ちゃんと閉めないと片閉まりするから注意」です。

ラベルは簡単に剥がれます。
付けっぱなしだと剥がれなくなったりするので、すぐ剥がすことを推奨。

ラベルを剥がした跡は残りますが、
ウェットティッシュで拭き取れば綺麗になりました。

３、外観レビュー

パッと見でわかる無印良品のスーツケースデザイン。
表面がシボ加工になっています。

ノーマルタイプはサラッとした表面でしたが、
フロントポケットタイプはシボ加工で高級感が増しています。
個人的には明らかに見た目は良くなっていると感じる。

形状はほぼ同じで、TSAロックの位置とフロントポケットの違い程度。
全体的には昔からの無印良品デザインなのですぐわかる。

形状はやや横幅が大きめ。
ノーマルタイプと同じです。
コーナー部のRが大きく、強度を重視しているのがわかる。

寸法は問題無し。

機内持ち込みに対応しています。
ちゃんと上限115cmギリギリにもってくるのはさすが日本メーカー。

無印良品は使っている人が多いので被るのが難点。
大きな駅に行けばほぼ100%見る。

４、ファスナー＆TSAロックの操作感

TSAロックは鍵式。現時点一つ前の仕様の「007型」。

鍵式なので操作感はごく普通です。
スライダーを差し込んでのロックも、レバーでの解除もスムーズ。
高さもぴったり合っています。

鍵はごく普通なもの。

レバーを右に動かすとフロントポケットが開きます。
そこは後で解説。

ファスナーはYKKのセキュリティジッパー。

おそらくRCW（不正開閉防止ファスナー）です。
ジッパー部分が二重になっており、こじあけにくくなっています。
高級スーツケースによく採用されるタイプで、この価格帯では珍しい。

このタイプは動きが重たくなるのがデメリットなのですが、
無印良品のこれは比較的軽め。スムーズに動くのでストレスがありません。
ここは無印良品スーツケースで良いなと思う点です。

このあたりはノーマルタイプと同じ。

５、キャリーハンドルの操作感

↑最大に伸ばした状態

↑最小状態

高さを自由に調節できるキャリーハンドル。

商品名にもなっている無印良品スーツケース最大の売りです。
これは本当に自由で、上図の最大と最小の間ならどの位置でも止まる。
ここまで多段階なのは無印良品だけです。
キャリーバーのぐらつき（遊び）も小さめで操作性は良いです。

しかし、この状態でも固定されるのが問題。

キャリーハンドルの収納がとても大変です。
普通ならある程度まで下げれば押し込んで収納できるのですが、
無印良品の場合は最後まで調節ボタンを押して下げないといけない。

下の動画を見て下さい。

＜キャリーハンドルの調節動画＞

ボタンを押さないと収納できないのは悪い点。

動画にあるように手を反対から持ってきてボタンを押す必要がある。
真上からボタンだけ押しても下がらない。
使い勝手はかなり悪く、無印良品の大嫌いな点です。

個人的には、キャリーハンドルはパッと収納できることが重要。
二度手間になる無印良品のキャリーハンドルは苦痛でしかない。
そのため、自分としては悪い評価になります。

注意点として、最大状態でも高さは低く、一般的なものより10cmは低い点。

175cmの自分でも低いなと感じます。
そのため190cmくらい背の高い人には辛いかもしれない。
自由に調節できるけど、高さが足りないという。

このあたりもノーマルタイプと同じ。

６、トップハンドルの持ち心地

トップハンドルは大きく膨らむので持ちやすい。
裏面にシリコンゴム的なグリップが追加されている。

ぱっと見はノーマルタイプと同じなのですが、
ハンドル裏面にゴム的なものが貼られており、グリップ感が良くなっています。
明らかに良くなっている。

トップハンドルは軽い力で膨らむので、本体に指が当たらず快適。
見た目は薄く硬いハンドルですが、中央が膨らんでおり指も入れやすく持ちやすい。
シンプルながら心地良いハンドルです。

サイドハンドルも同じ仕様です。

７、キャスターの操作性・静音性

無印良品独自のキャスター。静音性はまずまず。

キャスターはノーマルタイプと全く同じもの。
静音性は「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」より劣ります。
そのため静音性重視な人にはおすすめできない。

キャスターカバーはほぼ装着できないので注意。
小さめで薄いタイプならギリギリいけるのはいける。

走行性能も特別に良くは無い。
普通な使用感です。

静音性は下記の比較動画を見てください。

＜無印良品 静音性確認動画＞

＜比較用（HINOMOTO Lisof SILENT RUN）＞

「HINOMOTO Lisof SILENT RUN」と比べるとガラガラ音が大きい。
若干「ジー」という違和感ある音も感じます。

＜アスファルトでの比較＞

この走行音が嫌な人は無印良品は止めておこう。
キャスターカバーもほぼ付けられないので、静音化は厳しい。

＜比較用（うるさい安物キャスター）＞

安物キャスターと比べると十分な静音性です。
うるさくは無いので、使えるスーツケースではある。

８、キャスターロック

ワンタッチボタン式のキャスターロックを搭載。

キャリーバーの付け根にON・OFFのボタンがあります。
黒い方を押すとロック、白い方が解除です。
この位置にあるのはとても便利。

＜キャスターストッパー説明動画＞

ロックボタンは押すのが固いのが悪い点。

ワンタッチ型キャスターストッパーとしては一番固い。
小さな子供だとロックできないのではないかと思う。
ギューと押し込む感じです。

キャスター全体をロックするので、
変な形でロックされてしまうのも悪い点。

＜キャスターロック状態説明動画＞

※説明のためとは言え乱暴にしてごめんなさい

他社品はキャスターのホイール部分だけロックするため、
キャスター全体はロックしていても回転します。
そのためぶつかっても問題無いのですが、無印良品のは心配になる。

キャスターが地面に突っかかるので、ロック状態で倒すこともできない。
個人的にはこの仕様は悪いと思います。

ロック性能は全く問題無い。

９、内装をレビュー

片面仕切りのシンプルな内装。
ポケットも一つのみと収納性は最低限です。

一般的なスーツケースの内装仕様。
ノーマルタイプと全く同じ。

生地はリサイクルポリエステルを使用。
裏地にクッション素材を貼付してあるため、最高に厚い生地です。
厚すぎて邪魔に思えるほどに。

写真で説明していきます。

生地厚いのでのっぺりとした見た目。
注意タグが多すぎて見た目が悪いのはマイナス。

右側はXバンド。ポリエステル製。
バンドは直接縫って固定してある安い仕様。

Xバンドのバックルは平べったいボタンタイプ。

こんな感じでよくあるやつです。

中には何もない。
中央のファスナーはメンテナンス用なので開けません。

生地が厚すぎてちょっと邪魔。
ちゃんと形と整えてから荷物を入れないといけない。

「ウレタンなので加水分解するよ！」という注意書き。
生地裏面のクッション材のことだと思います。
スーツケースはカビに弱いのでしっかり乾燥を。

左側は仕切りとメッシュポケット。

あまり大きくは開かない。
ケーブルや書類など薄いものを入れるのに向いています。

内装のファスナーの引手は汎用的な安物。
無印良品スーツケースの悪い点です。
なんでもうちょっと良い引手にしないのだろうか。

仕切りのファスナーも同じ。

左側はフロントポケットなので浅い。
あまり入りません。

下部の隙間は有効活用したい。

メンテナンス用ファスナーを開けた図です。
フロントポケットは硬い樹脂で独立しています。
そのためメイン収納に詰めすぎても影響されないのが良い点（その逆も）。

合わせ面のカバー上部。

右側は接着剤で固定されています。
修理のことは考えていない。

カバーの下部。
全体的に縫製が雑です。ここまで下手なのは珍しい。
ベトナムはまだ慣れていないのだろうか。

笑えるほど下手な縫製。
無印良品は管理をしっかりしてほしい。

－－

内装のレビューは以上です。

内装仕様はノーマルタイプと同じ。
クッション付きの生地で厚いくらいで、ごく普通な内装です。
この価格にしては安っぽい仕様。

個体差はあると思いますが、縫製はフロントポケットの方が圧倒的に雑。
この価格帯のスーツケースとしてはかなり悪い。

１０、フロントポケットをレビュー

ワンタッチで開くフロントポケット！

最近増えてきた仕様です。
TSAロックのレバーを右に動かすと開きます。
閉めるのは押し込むだけ。

下の動画を見て下さい。

＜ワンタッチ式フロントポケット説明動画＞

一応は自動で開くタイプ。

フロントポケットに何も入っていない状態だと開くのが遅い。
手で開けたくなるレベルです。
ここはちょっとマイナス点かなと思います。

そして、レバーを動かすのが固い。

他社品より明らかに固いです。
片手で開けるのは苦労するので、両手で支えたくなる。
ワンタッチ型で無印良品が明らかに劣る点。

とはいえ、とても便利で素晴らしい。
座席下に置いてもすぐ開けられるし、レシートもすぐ入れられる。
個人的にもワンタッチ式は気に入っています。

その他、写真で細かく解説していきます。

ベルトで調節できますが、初期状態は開閉角度は小さめ。
この程度が使いやすいと思います。

ワンタッチ式の仕組みですが、、
この蓋にある金具を差し込んで固定します。

他社はこの金具は金属製なのですが、無印良品は樹脂製。

本体の受側が金属なので樹脂はダメだと思うがどうか。
元メーカーの人間として、干渉部の樹脂と金属は不具合連発で良い思い出が無い。
すぐ削れて作動不良になったりします。

本体側の金具固定部です。
金属の金具が動いてロック・解除します。
樹脂は絶対に削れると思う…。

心配になって見てみたらやっぱり削れてた。

このちょっとだけの使用でこの削れ。
進行すると作動不良になると思う。
だから他社はみんな金属の金具にしているし、そもそも普通は金属にするはず。
無印良品はこの手の機械物の経験が少なそう。

改良されるまで買わない方がいいかもなぁと思う。

フロントポケット部の内装はこんな感じ。
本体側は固定バンド付きの大きなポケット、
蓋側は小さなメッシュポケットが一つ。

落ちないようにするバンド使い勝手が悪い。
手を離すとマジックテープで閉じてしまう。
そのため、バンド側のマジックテープに止めて使います。

ここのマジックテープに止めると邪魔にならない。

この状態だと片手で出し入れできる。

説明が難しいので動画にしました。
あと、ついでに「仕切りは硬いよ！」とパンパンして説明しています。

＜本体側のポケットの使い方説明動画＞

要は、片手でさっと入れられない。

バンドで固定した状態でこのポケットに入れるには両手が絶対に必要になる。
かなり使い勝手は悪いです。
せっかくのワンタッチ式なのにもったいない。

動画でもやりましたが、このポケットはゴムになっていて伸びます。
そのため大きな物でも入る。

見えないところで糸の飛び出し。

蓋側は小さ目のメッシュポケット。

こちらはゴムではないので伸びません。
薄く小さなものしか入らない。

カバー付きの11インチのiPadProを縦向けに入れた図です。
13インチノートPCも入るはず。

横向けでもギリギリ入る。
ちなみに、バンドは撮影のためTSAロック部に強引に固定しています。

この部分に入れても良いですが、
開閉で挟み込む可能性があるので、貴重品は入れないほうがいい。

雑誌とA4クリアファイルを入れた図です。
A4関連のファイルならおおよそ入るだろう。

実際にはこんな感じで入れて使うことになるだろう。
ポケットが少ないので事務用品を入れにくい印象。
収納性はいまいち。

－－

フロントポケットのレビューは以上です。

全体的に難がある。
間違いなく削れていく固定部は大きな懸念材料。
固いレバーはストレスで、収納性も良くない。

他社品のワンタッチフロントポケットに比べると劣る印象です。
快適に使えるイメージが湧かない。

１１、内部をレビュー

メンテナンス用ファスナーを開けた状態。

生地の裏側はこんな感じのクッション素材が貼られています。
他社品でもたまにある。

上側がトップハンドルの固定部です。
一体型の大きな部材で固定してあり最高に良い。

キャリーハンドルの固定部です。
中央下部はキャスターストッパー機構部。

トップハンドル、キャスターロック機構まで含めた一体型で優秀。
スーツケースの中でも最高クラスに仕様が良い。
他社でこんな立派なのはサムソナイトの高級品くらい。

中央がキャリーバーの固定部です。
本体形状ぴったりで厚みもあり良い。

キャスターの固定部です。
とんがった部材はキャスターストッパー機構部。

大きな補強材が被さっていて、かつ角部は補強柱と最高に良い。
こちらもスーツケース最高クラスの補強です。

特にこの角部の補強材が素晴らしい。
無印良品のスーツケースの内部補強は過剰なまでに良い。
きっと開発者は壊れた嫌な思い出があるのだろう。

－－

内部構造は最高クラス。

無印良品のスーツケースの強度は抜群と言っていい。
海外旅行でも安心して使えそうです。

ここはノーマルタイプも同じ。

１２、実際に荷物を詰めてみた結果

容量は普通で悪くない。

商品ページには「容量約32L」と記載がありますが、
ノーマルタイプ（36L）と変わらない容量に感じます。
おそらくメイン収納だけで32Lということだろう。

200匁のフェイスタオルをほぼ限界まで入れてみた結果、55枚入りました。
機内持ち込みサイズは小さなものは50枚、大きなものは60枚入るので、55枚は良い方。
無印良品のノーマルタイプも55枚入ったので同じです。

ただ、もちろん左側はフロントポケットがあるのであまり入らない。
55枚はフロントポケットに入った5枚込みなので、メイン収納としては50枚です。
3泊用途には使えないと考えたい。

無印良品のスーツケースは高さを抑えて横幅を大きくしているのが特徴。
底鋲も無いので機内持ち込みサイズとしては最大級の横幅。
奥行も24cmと深いので詰め込みやすい。

１３、実際に転がして使ってみた感想

キャリーハンドルを最大に伸ばしても低いなぁと何度も思う。

無印良品のスーツケースは高さが無い。
最大で91cmしかなく、一般的には100cm以上ある。
別に使うのは問題ないのですが、高いのに慣れている自分は違和感がある。
使っていてずっと感じます。慣れない。

キャリーハンドルはぐらつき（遊び）は小さめで使用感は良い。
トップハンドルもシリコンゴム的なグリップ付きになったので持ちやすい。
手も入れやすいので快適です。

キャスターはやはりうるさいなと感じてしまう。
ガラガラ音だけでなく、「ジー」という音もするのが特徴。
ここがほんと無印良品のスーツケースの悪い点です。

重量も重たさを強く感じる。

実測値3.69kgと、機内持ち込みサイズとしてはかなり重たい。
フロントポケットはどうしても重たくなるのと、
優秀な内部構造などが原因だろう。

軽いスーツケースを求める人にはおすすめできない。
無印良品のノーマルタイプは約3.0kgなので普通です。

－－

総合的にはあまり快適さは無い。
フロントポケットを開けるレバーも固いし、ストッパーも固いし、
キャスターもうるさいしなぁ、とあんまり好きになれないスーツケース。

１４、無印良品 フロントオープンキャリーケースの検証・レビューまとめ

ワンタッチオープン部がいまいちでおすすめできない。

まず、樹脂の固定部材が削れるのは最悪。
間違いなく作動不良になると思っています。
この設計ではとてもおすすめはできない。

おそらく、常に一定の応力が加わるロボット耐久だと問題なかったのだろう。
人間の動作だと偏った応力になるので削れてしまいがち。
そこの評価ミスだと自分は思っています。そもそも金属と樹脂は無い。

その樹脂の影響か、レバーを動かすのも固くてストレス。
他社品より明らかに固く片手で開けにくい。
今回のレビューは外が寒かったので指先が痛くて大変でした。

本体表面処理とトップハンドルが良くなっていること以外はノーマルタイプと同じ。
静音性はいまいちなキャスターに、固いロックボタン。
良くなっているかと期待していましたが、相変わらず無印良品だった。

内部構造が超優秀なのは無印良品スーツケースの良い点。
本体もPC100%なので強度は抜群なはず。
ここは本当に凄いところです。

値段もそう安くないので、これを買うならもうちょっと奮発してバーマスなどが良いかな。
最近発売の「BERMAS INTER CITY2 PRO」の方が圧倒的に良い。

無印良品フロントオープンキャリーケース、これは買ってはいけない。
自分はその結論です。

＜ノーマルタイプのレビューはこちら＞

・無印良品のスーツケースをレビュー！評判のスーツケースをプロが検証